Y's note

Web技術・プロダクトマネジメント・そして経営について

本ブログの更新を停止しており、今後は下記Noteに記載していきます。
https://note.com/yutakikuchi/

Criteoが発表したCross Device Advertisingのreportを読む

アドテクノロジー プロフェッショナル養成読本 ~デジタルマーケティング時代の広告効果を最適化! (Software Design plus)

アドテクノロジー プロフェッショナル養成読本 ~デジタルマーケティング時代の広告効果を最適化! (Software Design plus)

Cross Device Advertising

Cross-device advertising: How to navigate mobile marketing's next big opportunity | Criteo はてなブックマーク - Cross-device advertising: How to navigate mobile marketing's next big opportunity | Criteo
リターゲティング広告の分野で最強と言われているCriteoが2014年の9月に書いているCross Device Advertisingのreportについてまとめを書いておきます。そもそもCross Deviceって何よっ思った方の為にも簡単に説明を書いておきますが、個人が複数のデバイスを利用してインターネットをしているとタッチポイントが分散してしまうので、個人の興味を解析してAdを配信したいサービスにとっては断片的な行動ログをそれぞれの端末から得るより、複数のデバイスを利用している人を1個人として特定できたらいいよねって話です。現状の識別情報については1ブラウザの特定はCookie、1端末の特定はIDFA、1ユーザーの特定はUserIDで行われているのが一般的で、これらは纏めた管理ではなく基本的に独立して扱っています。UserIDを使うと特定サービス内において複数デバイスを紐付ける事も可能なんですが、UserID自体が各メディアサービス(FacebookIDやTwitterID等)の識別子であるため、メディ側での利用に限定される事とAd配信サービス側は直接知る事ができないので扱いづらいとされています。


複数デバイスの解決をテクノロジーを使って推し進める上での気をつけなければいけない点は"インターネットユーザーの不快"と"個人情報保護"とされています。個人情報についてはどこまでなら許容可能という線引きを国が握ってしまっているのでそこは法律に従うしか無い状況です。数年前から個人情報を一切利用せずにCookieの代替IDを生成する41st Parameter社のADTruthやtactadsというSolutionにも注目が集まって来ていますが、今のところ精度はまだまだという感じのようです。
AdTruthとは? | AdTruth はてなブックマーク - AdTruthとは? | AdTruth
Cross-device advertising solutions はてなブックマーク - Cross-device advertising solutions

Criteo Report / Technology and Tracking : Volume vs. Accuracy

結局最後まで読んでみて目新しい話はあまりありませんでしたが、User識別の精度が低いと広告費用や機会損失をしているというメッセージが良く伝わってきました。 簡単にまとめるとCross Deviceによる広告配信はまだまだこれからということだと思います。 一部ですが重要だと思った事を意訳メモします。

  • スマートフォンタブレット、ラップトップのようなモバイルデイバスを40億人が利用する時代である。
  • Cross Deviceの広告配信による収益は素晴らしい物になるはずだが、市場関係者はCross Device識別は技術的に難しいものになると考えている。なぜならばプラットフォームをまたいで分析する事が現状はできないから。
  • 60%の人が複数のプラットフォームを利用している。それはdesktopを使っているアカウントに比べ凄く多くなっている。またTVを見ながらタブレットを使うようなケースも珍しい事ではない。
  • インターネットユーザーは流動的にデバイスを使い分けるのでますます難しい問題になるが、ちゃんと識別して広告を配信しないと無駄な費用を使ってしまう。間違って識別してしまうと複数人のように扱ってしまう。
  • インターネットユーザーは昼にPCで探して、更にスマートフォンでも探して、最終的には翌日にお家のPCで買うようなケースがあるから、市場関係者はこういった問題を解決するために複数のデバイス分析をちゃんと行い、いつどこでどれだけ商品が購入されるかを予測しないといけない。
  • モバイル広告をうまく展開できない3つの障壁として、ユーザー属性が取得できない、デバイスを跨ぐ消費者をうまく識別できない、サービスの最適化やパフォーマンスが低いのでコンバージョンが低いことが挙げられる。
  • 2016年には年には消費者がモバイルを使う率が44.3%に上がる見込み。
  • 1日における時間の使い方もTV,雑誌,ラジオよりモバイルデバイスを使う時間が長くなっている。
  • Cross Device広告は正確な方法と暗示的な方法の2つが用いられている。正確な手法としてはDeviceを跨いでもUniqが保証される情報を利用しており、昔からある方法としてはクレジットカード番号や会員カード、E-mailや電話番号、住所等がある。しかしこれらは全て消費者やプラットフォームに展開する事が出来ない。暗示的な方法としては消費者を推定する事もあるが、精度が低い事とプライバシーの危険性が大きくなってしまう事が懸念。
  • 正確な方法を利用する場合はopt-outやプライバシーをサポートする必要があるし、ユーザー数を増やす事と個人情報に気をつけなければいけない。
  • 暗示的な方法で機械学習モデルを利用してデバイスの特徴から二つのデバイスや同じユーザーから利用されている事を計算する事が出来るが、当然別々の2人を認識してしまう事もある。精度が40〜75%のように異なるとパフォーマンスとROIの低下に繋がる。正確な方法と同様にopt-out機能も準備しないといけない。
  • Single Sign Onも正確な方法の一つの例であるがDevice間を跨いだLoginというのは全ての消費者が行ってはくれないので難しい。
  • 一人の消費者がLoginしたときデバイスの移行と興味の移り変わりを認識する事が可能であるし、全ての端末でLoginしてくれると最善なカスタマージャーニーを提供することが出来る。
  • Hotels.comの例だと25%はモバイルデバイスからbookmarkされており、その内の60%は現在もしくは翌日の宿泊先である。これを利用すればもっと良い広告ターゲティングが利用できるだろう。
  • 暗示的なCross Deviceの認識方法にはいくつか問題がある。最大の欠点は全てのプラットフォームとデバイス間で継続して利用可能な識別子が無い事。そして識別子を得る事が出来るのは家庭内という状況下では可能だが、誰が特定の広告を見ているかという点迄掘り下げる事が出来ない。
  • 暗示的な方法の例として、同じIPで利用されるipadを1個人として識別する事もあるが、複数人の家族で利用している場合は正しく無いとされる。しかしながら個人の識別子を利用して言う場合に限り個人として特定をする事は可能。
  • 本来ターゲティングしたいUserでは無い人に広告を配信してしまうと多大なる機会損失となる。
  • 様々なメディアや広告配信やテクノロジー会社がCross Deviceの識別をする事に一生懸命になっており、全てのプライバシーのルールや制約をより正確で包含できるような仕組みを作っている。しかしこれは簡単な事ではない。
  • Cross Deviceで一人を特定する事を本格的に行うにはまだ多くの準備が必要。多くの人が考えている混乱を排除しなければならない。
  • 急速なタッチポイントの増加で広告は更に費用が掛かるものになってしまっている。精度が低い事は広告費用を無駄にしてしまっている。
  • 消費者がクレジットカードのような長期に渡って購買で利用する識別子だったり、Mailをどのデバイスで読んでいるかなどの正しい情報を集める事はとても重要。
  • 良いSolutionを提供してくれるPartnerを見つける事も重要。様々な企業が今Cross-Deviceの分析手法を確立している最中であるが、あと半年から1年以内に幾つかの企業がsolutionを発表する事が期待されている。
  • データの取得とopt-outの方法はクリアでなければならない。
  • Online広告からアプリへのWebインタフェースも自然な物でないといけない。デザインが重要。
  • より正確な時間に正しい広告を正しいUserに届ける事はConversionを改良する。