Y's note

Web技術・プロダクトマネジメント・そして経営について

本ブログの更新を停止しており、今後は下記Noteに記載していきます。
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オンライン広告におけるアトリビューション分析の必要性

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オンライン広告の評価

ダイレクトレスポンスといったオンライン広告配信を行い広告Clickからの次のActionを求めるような商材の場合、CPA(Cost Per Action/Acquisition)、ROAS(Return On Adevertising Spend)というCOST指標を用いて広告Vendorやキャンペーン評価を行うのが一般的である。この指標を出すためにConversion数(Action数/Acquistion数)を計測が必須で、InternetUserがClickした広告と紐づく直接Conversion、広告はClickせず表示のみを行ったアシスト数の間接Conversionに分けられ、現状ほとんどの広告主が前者の直接Conversionのみを見てCOST指標を評価している。直接Conversion数を出す際によく問題として発生するのが、広告主側でのConversion計測と各広告配信Vendorのレポート数に乖離が発生してしまう点である。乖離の発生原因は直接Conversion計測のやり方と定義の違いである。

まずはConvesion計測のやり方の違いについて言及する。広告主側では広告効果測定ツールというものを導入しており、広告のクリックURLやパラメータに配信Vendorを識別するものを含めInternetUserの広告Click後Conversion完了するまでその識別子を引き回して計測する。こうすることによってどの配信Vendor経由で直接Conversionに寄与したか判別可能となる。その一方で各広告配信Vendorが計測できることは自身が配信した広告のLast Clickと直接Conversionが発生した事実のみで、InternetUserにおける本当のLast Clickというものを各配信Vendorの計測はできていない状況にある。

次に直接Conversionの定義である。各配信Vendorは自身が配信した広告のLast Clickから規定日数以内に直接Conversionが発生したかを計測している。この規定日数が配信Vendorと広告主で異なり、更にはConversionとして認めるInternetUserの属性(新規Userのみ認め、リピーターは除外する)も影響する。この定義差を埋めるために配信VendorのAccount Executiveが配信レポートを提出する際に極力広告主側の定義に合わせているが、それでも上記の計測方法が異なるので完全な一致にはならない。

ダイレクトレスポンスにおける広告配信Vendor間の競合

広告主は複数の広告配信Vendorを利用している事が多く、ダイレクトレスポンスによるリターゲティングを行っている場合は、1requestにおける配信獲得を目指してVendor間で最悪の場合同じ広告主のほぼ同じクリエイティブでImpressionの奪い合いが発生している。差別化のポイントは確実にConversionするInternetUserに対して無駄な予算を使うことなく適切なタイミングで適切な配信面に届けられているかという点になる。この背景に配信在庫に対してImpressionを幾らで入札するかというBidding Priceの精度が大きく関わっており、多くのVendorがMachineLearningを利用したBidding Priceの最適化を行っている。このVendor間の成績をCOST指標で評価してしまうと、Bidding力で勝るVendorに予算がアロケーションされて局所的な最適化が起こってしまう。局所的な最適化の一番の問題はCPAを合わせるために配信Vendor、運用者(代理店も含む)が動いてしまうので、最終的なConversion数を延ばすという点においてこれらの広告では貢献できなくなってしまう。更にこの状況が続くとオンライン広告市場全体としても喜ばしく無いはずである。どの配信Vendorも確実にConversionするInternetUserに対してはHigh Priceの最適化(局所的な高単価CPM)が行われているが、広告主として全体COSTを下げる必要があるので収益観点においては逆の立場である配信Vendor,Publisherは高単価が扱いづらいことになる。

日本のRTB広告在庫の使われ方

日本のPublisherが純広告を抱え込み広告在庫をRTB Player等に積極的にならない原因としては日本のRTB在庫利用がダイレクトレスポンスに偏ってしまっている事が考えられる。上で説明したようにダイレクトレスポンスを在庫に入れると高収益性への期待が薄くなる。各RTB Playerも広告主による焼き畑作業が続くと苦しい一方なので、今後ブランド広告を収益の軸とすることも考えなければならない。RTBの仕組みとしてブランド広告を特定のPublisherに高単価で提供するPMP(Private Market Place)等の仕組みも登場してきているので今後の注目株である。PMPを普及させるためにもRTB Player ≠ リターゲティングのようなイメージをDemand側に啓蒙しなければならない。USの方ではブランド広告をRTB在庫として扱い、収益化に成功している様子。

カスタマージャー二データを用いたアトリビューション分析

Conversionに至るまでの自然検索流入、純広告Impression、アフィリエイト広告Impression、広告Click等の複数チャネルに接触した履歴全てをまとめたカスタマージャーニーデータをアトリビューション分析では利用する。目的としては単純なCPA,ROASのラストクリックを獲得した広告Vendorの評価だけではなく、InternetUserの態度変容に対して各施策がどれだけ寄与したのかを中間指標としてスコアリングし、今後のマーケティング施策全体をどのように設計するかを考えることである。ただしアトリビューション分析がCPA,ROAS評価と比べると一気に難易度が高くなる。なぜならばオンライン施策がオフラインへ購買へどれほど起因したかのシチューエーション問題だけでなく、InternetUserを分析するのかPublisherを分析するのか、それらを対象とする分析のフレームワークやMdelingなど数理統計学の知識を必要とする。アクセス解析ツール側で分析Modeling手法を含んで可視化Solutionとして提供するものも存在するが、複雑すぎて運用者側が使いこなせていない印象がある。今後は広告Vendor側でも分析ツールフレームワークを提供し、InternetUserの態度変容の可視化とマーケティングシナリオの自動化など運用者負荷を減らす施策が行われてくると予想される。